ざしを しれる ばしょ

普段語られないざしの、一部

人生20年、

女の子に恋したのは2度。

2度目に好きになった女の子が

俺の人生を大きく揺さぶった。

 

結構リアルな描写があるので

苦手意識や偏見のある方はこの辺で。

俺の人間的な部分がとても出ているよ、

自分で言うのもなんだけど異常だったから。

ちなみにこの時3年半程付き合ってた

彼氏がいた、というのもまた見所。

 

 

俺が好きになったのは

名古屋に住む二個下の女の子だった。

ネット(LINE)で知り合った子。

共通のアニメが好きだった。

身長162cm 黒髪ショート コーラ好き。

俺がショートヘア好きになったきっかけ。

 

最初の印象は  “常識足らずな子”  

歳上にもタメ口だし 二人称たまに「お前」だし

ネット民あるあるの囲いがすごくて、

そのぬるい環境で 偉ぶってるのが伝わってきて

正直めちゃくちゃ苦手だった。

絡むのやめよう、って何度も何度も思ったし。

加工した自撮りを載せては「可愛い」と言われ

自作の絵を投稿しては「すごい」と言われ

本当に 囲まれて生きている感が凄かった。

でも 今までに出会ったことの無い図太い子で

今思えば“新ジャンルに触れた”好奇心が

もう とてつもなかったの。

毎日ТLに居るし、アニメの二次創作すごいし

絵は実際上手いし、雰囲気可愛いし。

当時ハマってたのは松なので

松の話しかしなかった(他に話すことがない)

けど 会話のテンポはまあまあ良くて、

あと也とかも超上手くて 作品への愛が見られて

普通に好感度が上がっていった。

彼女LINE友達が多くて、よく友達整理とか

垢変更とかしてたんだけど

何故か毎回俺を残してくれるの。 

「なんでだろう」と思ってたけど、これもまた

数年越しに答えがわかる。

 

ある日突然「通話しようよ」って言われた。

当時の俺は通話がめちゃくちゃ苦手で

「いや、通話はちょっと…」って言ったら

「いいじゃんしよ!退屈させないから!」

と押され、乗り気じゃないまま初通話。

開口一発目から甲高い作り声(可愛い)で

「やっほー初めまして〇〇だよ、ポゥ!!」

って度肝抜くような言葉ぶちかましてきて

ここで完全に緊張が緩んだ。

話を聞くと、作り声と作ったキャラで 

いろんな人と通話するのが楽しいらしく、

最近よく絡むから とのことで

俺にも声がかかったらしい。

普通のネ友相手だとずっと

作ったキャラでお喋りしてる、って聞いた瞬間

俺の中の魔物がざわめき出した。

「ねぇ、地声で喋ってよ」

こういう事を軽率に言ってしまう女。

すぐに“周りと違う”自分になりたがる女。

これには流石の彼女も

「えっなに急に〜!!!

普段の自分見せるってこと!?!?

恥ずかしすぎんだけど、プェ〜〜〜!!!」

って 少しだけ動揺してた。

「いいじゃん聞かせてよ」

無いこと俺が押せ押せで接すると

間を置いてから

「……なんか、一気に恥ずかしいな」

と、さっきの声とは似ても似つかない

低音の落ち着いた素敵な声。

「初めての通話で地声で喋ったの

ここちゃんが、初めてなんだけど」

正直、ここで落ちた。

今まではアンタとかお前とかだったのに

急に名前で呼ぶじゃん。

もう 俺の中の雌が暴れだしていた。

 

この通話を期に一気にのめり込んだ。

そこからほぼ毎日通話するようになって、

寝ても冷めても彼女のことしか

考えられなかった。

学校で授業受けてても、バイトしてても

気づけば“今何してるのかな” って。

会話の中で得た情報を結びつけて

学校、TwitterInstagram を特定。

我 人生初 個人情報特定。

もちろんフォローなんてしない。眺めるだけ。

学校のホームページも定期的にチェックして

遠足に行きました、の記事がでたら

「やっぱそろそろ遠足とかあんの?」

とか 平然を装って会話を切り出した。

Twitterでどんなつぶやきをしてるのかも

逐一、数時間毎にチェックした。

そのおかげもあり「話が合う」と思われ

俺に対する株もあがった。

そうすると話す回数も増える。

次第にネ友感が全く無くなった。

お互いのプライベートの悩みとか

家庭・仕事の相談とか するようになって

遠い所に住んでいる友達 って感じを

お互いに持つようになった。

 

「ねぇ、ここちゃんに会いたい」

ネットで出会って1年半くらい経った頃

突然相手からこう言われた。

「えっでもお前“ネ友”とは絶対会いたくないって言ってたじゃん!?散々言ってたじゃん!?何人も断ってたって言ったじゃん!?!?」

そう、彼女はネットで出会った人とは

絶対に会いたくない主義の人間。

それを知っていたから  

この子とは生涯会えないんだろうな、

と諦めていたから 向こうから会う提案を

された時は飛び上がるほど嬉しかった。

本当に、大声を出した。

だって嬉しかったんだもん。

嬉しすぎて、嬉しすぎて、

すぐに会う日程を決めた。 

この時、俺が高三 相手が高一。

俺が会いに行く他 選択肢はなかった。

高校一年生の頃に 踏み入れたことの無い

新潟にの地に1人でふらっと行った女だ。

名古屋くらい どうってことない。

直ぐに高速バスの予約をとってみせた。

 

忘れもしない、2016年2月11日。

俺は初めて名古屋に降り立った。

人が多すぎる名古屋駅

右も左もわからずに 困りながら電話をかけた。

「着いたけど、今どこ!?人多すぎやん!?」

「名古屋はこんなもんだよ。

私 今新幹線乗り場の近くにいる」

「俺も居るけど、見つけられない」

「ここちゃんどんな服?」

「赤のニットにカーキの上着

「私 青の上着

数分キョロキョロして

ようやく見つけ出した時に、

自分の胸が踊ったのが分かった。

「見つけた!動かんといてな!俺が行く!」

走って向かったけど人生で1番足が軽かった。

お昼ご飯食べて

ウインドウショッピングして

ちょっと食べ歩きして

ヲタ活(本業)して

あっという間に一日を終えた。

飲食代は全額俺が負担した。

歳上だから、っていうのもあったけど

俺が金かけた(奢った)もので

彼女の身体が構成されていくと思うと

正直なところ、興奮した。

 

途中、寒かったというのもあり

ふいに手を取られたのを鮮明に覚えてる。

人が行き交う道で 手を繋いで歩いた。

胸が鳴るとはこの事か、と思うほど

心臓が激しく高鳴った。

当然 内情を表に出すわけはなく、

平常心と歳上の余裕を装って一日中接した。

別れ際、あと三日でバレンタイン

ということもあったので事前に用意していた

ちょっとだけいいチョコを手渡した。

「え〜私 なんも用意してないのに…

 貰ってもいいの?嬉しい、ありがとう」

少し申し訳なさそうに

でも、確実に嬉しそうに受け取ってくれて

全てが報われた気持ちになった。

帰りのバスで「ありがとう」って送ったら、

見たことないくらいの長文で

「今日はわざわざ来てくれてありがとう。

本当に楽しかった」という旨の

メッセージが送られてきた。

嬉しすぎて、何度もスクショした。

 

夢のような素敵な一日を過ごし、

以後数日間はほくほくしていた。

変わらず通話をする日々は続き、

声を聞く度 好きになっていた。

この頃からもうおかしかった。

好きなキャラクターのグッズを買って

定期的にプレゼントしたり(郵送)、

夜中に通話するために睡眠時間削ったり、

家で通話すると家族から苦情が来るので

わざわざ冬の夜に 最寄りの公園に行って

3時間程お喋りしたり。

身を削るとはまさにこの事か、というくらい

(勝手に)相手に尽くした。

でも俺は見返りを求めてしまうクソ女。

“俺はこんなにも好きって言うのに

 なんで向こうは言ってくれないの”

“もっと行動で示してくれてもいいのに”

という黒い想いがグツグツと煮立った。

しかし所詮 俺が勝手にしてる行為。

決して、相手に強制されて

睡眠時間を削ってるわけじゃないし

夜中寒い思いをして通話してるわけじゃない。

俺が勝手にしてるだけ。

そこに関して一人勝手にもやもやしてるだけ。

全部自分で分かってるけど納得がいかない。

俗に言う病み期というものを軽く経験した。

 

たまに彼女が口にする

「ここちゃんだけに言うけど」

「ここちゃんにしか聞けないんだけど」

「ここちゃんは特別だから」

という言葉に囚われすぎた。

彼女にとっての特別であり続けたくて

毎日 毎日、彼女のことを考えた。

パンダが好きなのも

でんぱ組を好きになったのも

全部 全部、彼女の影響。

パンダに関しては、とりあえず同じものを

身にまといたくて好きになった。

同じものが好き という事実を作りたかった。

そうしたら話題も広がるから。

「ここのパンダグッズみた?」

「新しいパンダグッズ見つけたよ!」

たったこれだけの会話の糸口を掴むために

相手の好きな物を好きになった。

でんぱ組は布教されてハマった。

「この曲のここめっちゃいいよね」

「この衣装可愛いよな」

自然と会話回数が増えるのを身をもって経験。

話題が尽きないので会話が終わらない。

ずっとずっと喋っていられた。

幸せだったし、本当に癒しだった。

動機が不純とは言え、

今ではすっかりでんぱ組のファンである。

広島にも東京にもすっ飛んでいくくらいには。

 

その後、何度も名古屋に足を運び

お互いの認識が「本当の友達」になった。

居心地が良くて信頼できて

もっとずっと一緒にいたい、と

お互いが思うようになっていた。

(本人の口からもちゃんと聞いた)

その子自身 元々“バイ・セクシャル”と

公言していたので 脳裏には

「恋人になる」という選択がうっすら、と。

でも俺には彼氏がいる。

彼氏のことは変わらず好きだったし

別れる気もさらさらなかった。

というのもあるし、

まさか二股なんてするわけないと

当時は思っていたので 告白はしなかった。

多分告白したら付き合った、と今でも思う。

まぁ結果的に付き合わなくて正解だった。

恋愛するには、名古屋は遠い。

 

 

 

一旦ここで辞めておく。

これを読んで、貴方、どう思った?