ざしを しれる ばしょ

普段語られないざしの、一部

そんなのは、

贅沢だから 金持ちのすることだ!

と思っていた。

外食先で好きな料理だけ頼んでいい、なんて。

 

俺の家族は揃いも揃って外食好き。

週に一回は必ず家族揃って

どこかへご飯を食べに出かけた。

父の職業上、居酒屋に行くことも多々あり

小学生の頃から居酒屋を身近に感じていた。

食べ盛りだった俺と弟だったがら

自分の頼みたい料理を頼めるのは

せいぜい2品ほど。

あとは親たちが勝手に決めてしまう。

今 思い返せば

健康面での配慮が大きく、

栄養が偏りすぎないように 

色々 料理を注文してくれていたのだ、

と 分かるが、当時は

「お金がかかるからだろうな」

「大人が食べたいものを頼んでるんだろうな」

と 思うだけで精一杯だった。

 

だから、好きな物を好きなだけ頼める

友人宅が心の底から羨ましかった。

 

ある日 その友人宅に泊まりに行くと

「夜ごはん作るの面倒やし

 どっか居酒屋でもいい?」

と 友人の母親に言われた。

間髪入れず「もちろんいい!」と喜んで答えた。

実際店に行くと 友人の両親は

「好きなもん頼み〜」

と、全てのオーダーを

当時小学生だった俺らに投げた。

衝撃的だった。

長年の癖で2品しか選ばなかった…いや、

選べなかった俺に 母親は

「なんや、遠慮してんの?(笑)

  もっといっぱい食べれるやろ?頼みや」

と優しく声をかけてくれた。

 

その優しさと与えられた自由が

10年経っても忘れられなくて、

未だに誰かとご飯に行ったら

「好きなもん頼んでね」

と言っちゃうし、

自分も遠慮なく好きな物を頼む。

 

俺は多分、一生外食が好きだし

一生この幸せを噛み締めていく。

いや でも幸せが当たり前になったら

もっといいかもね。